🍀なおりだまができるまで 第1話|忘れられない相棒
5年前、我が家のシーズーが虹の橋を渡りました
名前はペペ。
愛想はなく、抱っこも撫でられるのも嫌い。
自分は人間だと思っているのか、この子らしいことが何ひとつ得意ではない子でした。
散歩に行けば必ず先頭を歩き、呼んでも振り返らない。
来客があっても愛想を振りまくどころか、さっさと自分のベッドに戻っていく。
そんな子でした。
それでも、わたしにとってペペは特別な存在でした。
窓の外をじっと見ているペペの横顔。
ご飯のときだけ見せる、必死な顔。
夜中にひとりで起きていると、いつの間にかそばに来て、何も言わずにそこにいる。
そういうことが、当たり前のように毎日続いていました。
ペペがいることが、日常でした。
だから気づかなかったのだと思います。
その日常が、永遠じゃないということに。
15歳という時間を、一緒に過ごしました
年老いていくのは、ゆっくりとした変化でした。
後ろ足がふらつくようになり
クルクル同じところを回るようになり
ご飯を自分で食べられなくなり
注射器で口元に運んであげる日が来た。
それでも、食欲だけは最後まで旺盛で、注射器のご飯をがっつく顔は、若い頃と変わりませんでした。
そのギャップが、愛しくて、切なかった。
ペペは15歳で虹の橋を渡りましたが、今でもときどき、思い出します。
窓の番人のように外を見ていたあの横顔を。
散歩のとき、絶対に先頭を譲らなかったあの背中を。
そして、そばにいてあげられなかった夜のことを。
次回 第2話|近づけなかった夜のこと